もう、泣いていても誰も涙を拭ってくれない。 それでも涙は止まらない。 泣いても泣いても枯れることなく溢れだす。 幸せに触れたと思ったのに、それは指先が触れた途端に弾けて消えてしまった。 シャボン玉の様に。 全ては儚い夢だった。 泣くだけ泣くと、私は空を仰いだ。 漆黒の空に私の吐く息だけが白く立ち昇る。 その中で白い粒がひとひら舞い降りてきた。 「初雪……」 その雪の粒は私の掌に吸い寄せられるように舞い降りた。