(あれが、普通の生き物ならね――) いかつい顔の獣特有のひげが、頬のけいれんと共に上へと持ちあがる。 (何を威嚇している?) 女は、だらりだらりと、近づいてゆく。 異臭は増すが、他に気付く者はない。通り過ぎるだけ。 彼女も妖魅なのだ。だが普通とは全く違う。 妖魅を手なづけ、最後はころすために生まれた。人外の化け物――。