「すいません、大丈夫です」 「本当に? あれだったら、帰ってもいいよ? 今日はあまり忙しくないし」 そう言われて、もう1度時計を見た。 「いえ、あと少しで定時ですし、やって帰ります」 「そう? でも……社内、ちょっと空気悪いよ?」 悠子さんが小声で言う。 表情も良くない。 少しだけ、不安がよぎった。 「何かあったんですか?」 私もつい小声になって、悠子さんに聞いた。