SEASONS【完】




「別に、何でもないですよ」




初対面の人に、それも男性に言うことじゃない。


だから、強がって見せた。



何も気付かず、話題を変えて欲しかった。



だけど、そうもいかない。


自分でも分かっている。


出した声は震えているし、おそらく表情も引きつっている。


誰が見ても、嘘を吐いていると分かってしまう。



案の定、彼にも見抜かれていた。




「何でもないって顔じゃないよね」