あたしの表情が曇ったのを見て、彼が聞いてくる。 それにあたしは、こくりと頷く。 「彼氏がいるの?」 他に断る理由なんてないだろう。 誰でもすぐに分かることだ。 だけどあたしは、何も言えなかった。 答えてしまえば、これっきりになってしまう気がした。 それは、嫌だと思ったんだ。 「彼氏、いるんだ」 黙っていると、彼は決め付けたようにそう言った。