「ちょっと、あまり考え込まんでよ。 うちの気のせいかもしれんけん。 でも、ちょっとかっこよかったなぁ」 千晃が彼を思い出しながら言う。 「千晃、彼氏いるくせにー」 そんなことを言うあたしも、少しかっこいいと思ったけど。 だけど、それ以上深くは考えなかった。 今後、2度と会うことはないと思っていたから。 それに、少しは吹っ切れたけど、彼氏のことで悩んでいたから。 そのあと、千晃とご飯を食べたりしていたら、 いつの間にか今日会った彼のことなんて忘れてしまっていた。