「分かった。 それじゃあ、あたしたち帰りますので。 ありがとうございました」 お礼を言って、彼と別れた。 千晃はなぜか、彼とは目も合わせず、早々と立ち去った。 あたしも急いで、そのあとを追った。 「さっきの人……ずいぶん前からここにいた」 ちらっと後ろを見てから、千晃が言った。 「うちがここに来る前からいたみたい。 しかも、美羽を見ていた」 「えー、まさか。 気のせいでしょ?」