「……あっ!!」 「えっ?何?」 急にあたしが大きな声を出したせいで、千晃も驚いている。 「レンズの蓋がない……。 どっかで落とした!」 「はぁ? あんたが、心ここにあらずな状態でいるけんだよ」 焦るあたしに、呆れたように言う。 「蓋って、これだろう?」 急に男の声がした。 ここに、あたしら以外に人がいるとは思わなくて、驚いた。 振り向くと、あたしらより年上っぽい男性が立っていた。 その手には、蓋が握られていた。