「あ、拗ねた?」 うちがぷいっと顔を背けても、相変わらず笑っている。 「もういい。帰るっ」 これ以上話しは進まないと思って帰ろうとしたら、加藤くんに腕を掴まれた。 「ちょっと、離してよ」 「やーだ。 何で帰るの?」 笑いは治まったけど、子供みたいな表情をして首を傾げる。 「何でって、帰りたいから帰るの」 「じゃあ、これでも帰れる?」 そう言って加藤くんは、うちの腕を自分の方へ引っ張り、抱きしめた。