シリアスな雰囲気から一転、明るい空気が流れていた。 「笑い事じゃないよ! だって、自分ばっかり彼女作って、なのにうちに彼氏がいるかしつこく聞いて。 なんか、ムカついてきたんだよ。 それと同時に、虚しくなったんだ。 やっぱりうちばっかが好きなんだって……」 そこまで言った瞬間、はっとして、うちは自分の口を押さえた。 そして、“しまった”と思った。 今、周りには誰もいない。 この前と違って、声はよく通る。 聞こえない訳がなかった。