私はその瞳から逃げられなかった。 イヤ、逃げれる状態ではなかった。 玲に覆われて、逃げ場はどこにもない。 私の体は、恐怖で震えて来た。 手や足の感覚さえ、なくなって来た気がする。 「何で遅れた?」 たった一言なのに、背筋が凍るような冷たい声に、また私は震えた。 「も、盛り上がって……なかなか抜けられなかった……だけです」