おじさんって言うな! 〜現役JKに恋した三十男の物語〜

 有希が俺の腕の中で、俺を見上げてそう言った。


「さっきって、俺、なんか言ったか?」


「“俺の有希に触るな”って……」


「そんな事言ったか?」


 有希はコクッと頷いた。

 そういえば言ったような気もするな。


「言ったとしても気にするな。咄嗟の事だし、俺の勝手な思い込みだから」


「嬉しい……」


 有希はそう呟き、俺の胸に顔を埋めた。


「お、おい、有希……?」


 有希はパッと顔を上げると、


「じゃあ、愛美さんと結婚すると言ったのは……?」


 と言った。


「わるい。あれは嘘」


 そう俺が答えるやいなや、


「バカッ!」

 という叫びと、パチンという音が同時にして、目の前に星がチラついた。