おじさんって言うな! 〜現役JKに恋した三十男の物語〜

 有希の事が心配で堪らなかったのだ。また夜に一人で出歩き、不良に絡まれてやしないかと……


 俺はおにぎりをかじりながら、マンションのエントランスに目をやった。なんかこういうシーン、映画で見た事があったような……

 容疑者だか容疑者の愛人だかを、車の中から見張る刑事達。張り込みってやつだ。


 いやいや、俺のはそんなカッコいいものじゃないな。要するにストーカーか?

 あの委員長のクソッたれより、俺の方が上手(うわて)かもな。


 俺がこんな事を始めてから、まだ1回も有希を見ていなかった。それはつまり有希が出歩いてないわけで、それでいいのだが、一目だけでもあの子を見たいな。


 それともうひとつ俺には気がかりな事がある。それは別れ際に見た有希の涙の訳だ。あの涙は何だったんだろう。いくら考えても、答えは出ないのだが。


 というような事を考えていたら、有希がエントランスから表に出るのが見えた。