おじさんって言うな! 〜現役JKに恋した三十男の物語〜

「そう言えばさ……」


 不意に俺は、昨日有希が俺に言った不可解な言葉を思い出した。


「“あの人達”って、誰の事だ?」


「私、そんなこと言った?」


「言ったよ。俺の事、『あの人達と同じだ』って……」


「そういえば言ったかも……」


「あれから気になってさ。誰の事なのかなあ、って……」


 そう言いながら有希の目を見てたら、一瞬だが有希の瞳が揺れ、俺から視線を外してしまった。


「言いたくなければ無理には聞かないよ?」


 俺がそう言うと、


「ううん、話す。おじさんには聞いてほしいから」


 有希はそう言い、俺の目を真っすぐに見た。さっき一瞬見せた動揺は、もう感じられなかった。


『おじさんには』の言葉が嬉しく、一瞬顔がにやけそうになったが、俺はそれを引き締め、有希の言葉を待った。