おじさんって言うな! 〜現役JKに恋した三十男の物語〜

「あー、それはいいから!」


 俺は有希に走り寄ると、腕を伸ばして手でそれを隠した。

 有希は、不思議そうにポカンとした顔で俺の顔を見た。


「というかさ、この部屋はもういいから。ありがとう」


 そう言いながら、俺はそれ、というよりそれらを、きちんと重ねられた雑誌の裏にガシャガシャと押しやった。


 ああ、有希は俺が読み散らかした雑誌も揃えて重ねてくれたんだなあ……って、おい!


 一番上の雑誌を見て、慌てて俺はその前にあぐらをかき、雑誌を後ろに隠した。

 雑誌の表紙では、可愛い子ちゃんが悩殺ポーズを決めていた。


「どうしたの?」


 それでも有希はキョトンとしたままだった。もしかして、有希はなんにも気づいてないとか?


「い、いや、何でもない。あっちの部屋へ行こうよ?」


 俺は立ち上がると窓を閉め、「まだ掃除が途中なのに……」と文句を言う有希の背中を押し、その部屋を出た。


「ねえ、おじさん」

「ん?」

「今度、見せてもらってもいいかな?」

「何を?」

「エッチなDVD。見た事ないんだ……」

「………!」


 拭き取ったはずの汗が、俺の体からぶわっと噴き出すのだった。