おじさんって言うな! 〜現役JKに恋した三十男の物語〜

 人はまだあまり多くなく、迷子になるおそれはあまりないと思った。でも俺は有希の手を放さなかったし、有希も放そうとはしなかった。


 3階には書店だの電気店だの携帯ショップだのがあり、それらをちょっと覗いてみたい気もしたがやめておいた。今日は必要な買い物をする以外は、有希を楽しませ、満足させる事だけを考えて。


 映画館まであった。

 今は買い物のついでにこういう所で映画を観られるわけで、便利な時代になったもんだな。有希にそんな年寄りくさい事は言えないが。


「映画でも観るか?」


 何の気なしに有希に言ったのだが、


「え? いいよ、観なくて。観たい映画ないし、お金と時間がもったいない」


 と言われてしまった。俺も本気で観たいわけじゃないから、いいんだけど。


「だよな。第一、デートじゃないんだしな?」

 これも何気なく言ったのだが、有希の表情が一瞬曇ったように見えた。俺の気のせいかもしれないが。