やっとこさドアを開いたら、少女がドアを押さえてくれた。


「おお、サンキュー。これ、置いて来ちゃうからな?」


 そう言いながら明かりのスイッチをパチンと入れ、靴を脱いで部屋に上がり、ローテーブルに買い物した袋を置いて玄関を振り返ると、少女は閉まったドアを背にして、もじもじしながら俺を見ていた。


 そっちへ戻り掛けたら、

「おじさん、トイレ貸して?」と、少女は辛そうな顔で言った。


「お、おお。いいよ。便所はこっちだから」


 俺が便所の方へ行くと、少女は「おじゃましま~す」と言って靴を脱いだ。


 便所を掃除したばかりでよかったなあ……

 てな事を考えながら、俺は便所の明かりを点けてあげた。