「綾香ぁあぁあああ!俺の姫ええええ!どこ行ったああああ!」


「あの子可愛いから誰かに……」


「殺すぞオラアアアア!」


「…パパ、うるさい。」




チッと舌打ちを打つ。


きっとこの少女の家族であろう、声はだんだんと近付いてくる。



「綾香ちゃん、またね。」


手をそっと離すと彼女はきょとんとしていた。


手を振りながらその場を離れ暫く見守っていると家族がやってくる。



半泣きの父親


もはや泣いている母親


ツンとむさくれている兄



誰もが彼女に愛情の眼差しを向けていた。



その光景にイライラが募る。



「決ーめた。クスッ、壊そうっと。」



俺は君を愛し抜くと同時に。


君の大切なものを全て壊そうと決めたんだ。



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