ダメだ。 廉の場所には、行けない。 また、同じ事が繰り返されるだけになってしまう。 「ククッ、良い子だねえ。」 流架の方へ、私は行く事に決めた。 ギュッ 苦しい程に腕に力を入れて私を抱き締める。 「綾香から、離れろ…」 背後からは、低く狼の様に唸る廉の声。 「はあ、本当に君は憎い人だ。僕と綾香ちゃんを引き裂く最大の……敵。」 パチンッ 流架が綺麗に指を鳴らす。 その音と同時に現れたのは、沢山の大男達。 一体、何処に居たというのだろうか。