〖ガラスの涙〗

私は病室に戻り、
倖と御神さんの所へ向かった。

二人は楽しそうに笑っていた。


御神さんが居てくれて
助かったと心が言っている。

「あっ!」
「三咲さんっ」

「ママっ!!」

二人は私を見るなり
大声で私を呼ぶ。

「もういいんですか?」
「お話・・・」

「ああ・・・うん」

私はぎこちなく微笑みながら
“嘘”を言った。


いいはずが無い。

返事の事だって考えなきゃ
いけない・・・。

峰原さんが・・・

こんな私を・・・?


そんな事、考えても
みなかった・・・。

「ママ・・・?」

倖が私の顔を
心配そうに覗き込む。

「あ・・・っ」
「何でもないわ」


私はあせあせと返事をした。

「三咲さん、大丈夫ですか?」

御神さんにまで迷惑を掛けてしまった。

「だ、大丈夫ですんで!本当にっ」


心配してくれるのは嬉しい。
でも、迷惑は掛けたくない。

「御神さん、もう帰ってくれて
大丈夫ですよ・・・?」

「ああ、そうですか?」
「僕はいつまででもいいですけど」

と、その時・・・
「ヤダッ!けいすけ先生いっちゃヤダッ」

倖が駄々をこねだした。


「倖、駄目でしょっ!?」
「そんな我が儘言っちゃ!」