〖ガラスの嫌い〗

コンコンっとドアをノックする音。

「はい・・・何方でしょうか?」

ココは病院、倖の病室。


「御神です・・・」
「入ってもよろしいでしょうか?」

「あぁ、御神さん」

私は何となく少し考えてから

「どうぞ、入って下さい」
と言った。


御神さんは椅子に腰掛けて言った。

「倖ちゃん、大丈夫ですよ!」


思いもよらない言葉に私は唖然とした。

てっきり、“大丈夫ですか?”とかだと思ってた。


この人は前向きに生きてるんだろうな・・・。

「三咲さんが忙しい時は
僕が倖ちゃん面倒みるんで!」

「はぁ・・・それはどうも・・・」


少し馴れ馴れしい感じもしたが、
今はお礼を言うしかない。

馴れ馴れしいなんて言える立場じゃないからだ。


「でも大丈夫ですから」

「私が居ない間も、
ちゃんと待てますしこの子」

ちょっと否定も含めた遠慮言葉。

でもそれはあっさり返される。


「大丈夫じゃないですよ!」

「もし倖ちゃんに何かあったら
どうするんですか!?」


確かにそうだけど・・・

何だかこの人に頼むのが「嫌」だった。

本当に何故かは分からない・・・。
自分でも何故かと言いたいくらいだ。


「ん・・・」

その時、倖が目を覚ました。

「倖・・・っ!?」

「けいすけ・・・先生・・・?」



倖が真っ先に口にしたのは御神さんの名前。