「―――好きなんで・・・付き合ってください」

中学3年生の秋。

全く絡みのなかった男子に放課後呼び出されて、

向かった誰もいない4階の理科室の前。

その人は緊張した顔であたしを見つめて、

下を向いてこう言った。

『付き合う』・・・かぁ。

何も知らないのに、付き合うって・・・。

でもあたしは、黙ってコクンと頷いて。

「・・・よかったぁ~・・・」

ホッとした表情を浮かべ、その場にしゃがみ込むその人。

名前は・・・山崎 比呂。

「俺のこと比呂って呼んで?美沙って呼んでもいい?」

「うん・・・いいよ」

どっちかというと比呂は可愛い系の顔で、

ダークブラウンの髪がサラサラで。

バスケ部に入ってて、クラスの人気者で。

面白くて友達が多くて、あたしのクラスにも時々来てた。

よく目が合うから、何だろうとは思ってたけど、

まさか告白されるなんて思ってなかった・・・。