夏になりかけているためか夜でもなんだか蒸し暑い


縁側に腰をかけ
ふと空を見上げると
月のない暗闇にいくせんもの星が輝いている


死んだ人はお星さまになるんだよ


見上げた夜空にふと昔の言葉を思い出す

小さい頃近所の大好きだったおばちゃんが死んでしまったとき泣きじゃくるあたしに祐がいった言葉だった


輝く星達は祐がいった通り人の命のように儚く美しく光っている


あたしも星のように美しく死にたいと思う



「祐…」


祐は星になったのだろうか

光輝きながらどこかであたしを見ているのだろうか


手を伸ばせば届きそうなのにけっして届く星のように
祐の温もりももうあたしには手にすることのできないものになってしまった


「祐、あたしはあの人達を信じてもいいのかなぁ…」

ぽつりと呟いた言葉は宙をまう


静かな縁側に響き渡るのはあたしの呼吸だけで
呟いた質問に答えが帰ってくることはなかった



それでもなんだか
前よりは気持ちが軽くなった気がした



「明日からまた、頑張らなくちゃ」


そういって楠葉は床についた