漆黒の黒般若

「平助っ」


平助の後ろ姿を見つけ声をかける


彼もまた坂下のようになんだか元気がなかった


「あぁ、一くんか…。どうしたの?」


疲れたような顔をして
平助は振り向く


「坂下と町に行ったらしいな。あの、血はなんだ?」

単刀直入に尋ねる斎藤に平助は顔を歪める


「あぁ、楠葉に聞かなかったのか…。」

そうして平助は町であったことを話してくれた


「坂下が豹変だと…?」


やはりあれは坂下の血ではなかったのか…


しかし、最近明るくなってきたというのに何故…


「俺が悪いんだ。楠葉を早く逃がさなかったから、でも楠葉、ここにきたときと同じ目ぇしてた…。

確か、その浪士達が長州と言った時から」


平助は楠葉の目を思い出すと悔しさが込み上げる


「吉田…という男のことか」

「あぁ、楠葉は吉田の事を相当恨んでるみたいだな」

「確か、幼なじみを殺されたのだったな」

「楠葉、大丈夫かなぁ…。またふりだしにもどらないといいけど…」

ふりだし…

坂下は吉田のことになると我を忘れて彼を追いかける


そんな彼女に自分は何をしてあげれられるのか
今の俺にはわからなかった