「楠葉」


誰かに名前を呼ばれる

「誰?」


気がつくと暗闇に1人立っていた

誰かが楠葉の名前を呼ぶのだが、暗くて辺りの景色が分からない


しかし…


「楠葉、楠葉こっち」


今度は違う方からさっきとは違う声が聞こえる


「誰?!だれなの?」


不安と恐怖から声がつい大きくなる楠葉の腕を誰かが掴んだ


「きゃあっ!」


驚いて叫んだ瞬間周りが明るくなる

その瞬間目に飛び込んできたのは家の玄関だった


しかしそこに立っていたのは血まみれのお父さんとお母さんで

あたしの手をつかんでいるのは同じく血まみれの祐だった



「いやぁ”ー」

必死で逃げようとするが祐の手があたしの腕を強く握ってはなさない

そして次々と声が聞こえる
「楠葉ー、楠葉ー」

「きゃあー」



ガバッ


あたしは自分の悲鳴で目を覚ました

しかし目の前に広がっていた景色に絶句する


「さ、斎藤さん」