「にしても未来から来たっていうのは証拠見にかけるなぁ…」


土方さんは顔をしかめて腕を組んだ



「あ、それなら…」


あたしは思い出したようにスカートのポケットに手を突っ込む

しばらく中をあさったあたしはみんなの前にポケットの中身をだして見せた



「これがボールペンでこれが携帯電話、あとガムとコンタクトです」


次々と出される未来の物に幹部達は呆然としている


そんななかただ一人目を輝かせている男がいた


「楠葉ちゃん、これは何〜?」


この人あたしが傷を負わせちゃった人だ

えっと、確か…

沖田さん


「ボールペンですか?これはこの上のところを押すと芯が出て字が書けるものです」


早速沖田さんは近くにあった紙にボールペンを走らせる


「わぁ、凄い!墨を浸けなくても字が書ける!」

沖田さんが楽しそうに使うボールペンを原田さんが驚いて見ている


あまりに楽しそうなのであたしは彼にボールペンをあげることにした

「え!本当にいいの?」

「はい、傷を負わせてしまったお詫びです。そんな物でよかったら…、本当にすみませんでした」

あたしは眉をよせて沖田さんに謝ったのだが
沖田さんはすんなりと許してくれた



「坂下君、この箱のような物はなんだい?」


山南さんが携帯のキーホルダーを掴んでふって見せる

「あっ、それは携帯電話です。遠くに居る人と会話が出来る道具です、もちろん外国にいても話せますよ」
あたしは携帯を耳に当てて使い方を説明した

「へぇ、未来はとても発達しているんですね。ではとても平和なんでしょうね」
「はい。とても平和ですよ」


そう答えたものの何かが心に引っ掛かる

“平和”

そんな平和の中お父さんとお母さんは殺されたんだ


少し暗くなる彼女の様子に気づいた永倉さんは肩をぽんと叩いて言った

「大丈夫だよ、お前の居場所は今日からここだ。煩いかもしれねぇが、俺らのことを家族だと思ってくれて構わねぇからなっ!」


優しい言葉につい涙が溢れる

そんなあたしを見て永倉さんいわく、その場にいた幹部の人達は温かい目で見守ってくれた


居場所ができた安心感とみんなの優しさに涙はなかなか止まる気配をみせなかった