あのあと副長には怒られてしまった

しかし、俺は結果的にこれでよかったとおもっている

また熱の上がってしまった楠葉は斎藤の部屋で苦しそうに眠っている


そんな彼女の看病を罰として任された斎藤は濡れた手拭いを変えようと額に触れた


するとうなされていた楠葉が目を開いた


驚くこともなく苦しそうに開かれた瞳はさっきの瞳とは違い

少しだけだが生を感じられる


「はぁ、はぁ…
あの、あたし…」


なにかを話そうとするのを斎藤は優しく制した

「黙っていろ、話なら熱が下がってから聞く。とにかく今は体を休めろ」


きつい言葉の割には楠葉を撫でる手は優しく

楠葉はまた眠りに引き込まれていった




「早く、熱がさがるといいな…」



微かに呟いた言葉は誰も聞き取ることが出来ないくらいに小さかった