漆黒の黒般若

廊下の角に身を潜めていた楠葉は刀を抜いて

静かに相手の動きを伺う


「お前は、漆黒の黒般若!誰に頼まれた…?俺を殺すつもりだろうが俺は強いぞ。お前ごときに倒されはしない」




あたしが黒般若だと分かるとやつは刀を構え襲いかかってきた




「はぁあー!」



向かってくる男の刀を避け、わき腹に刀を滑り込ませる



「ぐはっ」



口から血をはき、倒れた男はもう言葉を発することはなかった




今日も吉田を見つけることはできなかった…


タメ息をのこし、その場を去ろうとした時

「きゃあー!」



ガッシャーン


廊下を歩いてきた女中に見つかってしまった


悲鳴をあげる女中の横を通り抜け屋根裏から外に出る楠葉だが

さっきの悲鳴で駆けつけたのか、建物の下にはあさぎいろの羽織がこちらをにらんでいる



今日は何だかついていない
と自分の運の悪さを恨んだ


しかしこんなところで捕まるわけにはいかない

あたしにはやることがあるんだから…