漆黒の黒般若

「おい佐之ちょっといいか?」


「お、斎藤か?どうしたんだよ?」



まず尋ねたのは佐之の部屋だった



寝起きらしく、すこし乾いた声で襖から顔を出す



「あぁ、その…、女が喜びそうなものと言ったらなんだ?」



「はいっ?」


原田は斎藤が言ったことが信じられずつい聞き返してしまう


言葉事態に問題はないのだがその言葉を斎藤が言ったことが問題だった




「さ、斎藤。女に何かやるのか?」

原田が驚いた様子で聞き返すと


斎藤は急に焦り始める

「いや…、違うっ!ただ、ふと思っただけだ…」


斜め下を向きながら赤くなる斎藤に原田は目を見開きながらもホッとしていた


常に無表情であまり人と関わろうとしなかった彼にもちゃんと人間臭いところがあったからだ



「そうだな〜、歳や性格にもよるよな。そのふと思った女はどういったやつなんだ?」

まさか、楠葉とかじゃないだろうな…

そんな原田の考えも知らず原田が言ったことを少し考えながら斎藤はぽつぽつと特徴を出していく



「まず歳は17、綺麗な黒髪を一つに束ねた小柄な女だ。性格は…、頑固だがさみしがり屋だ」



思いっきり楠葉じゃねーか!!


あまりにもはっきりと出た楠葉の特徴に心の中で突っ込みをいれてしまう


こいつ、わざと言ってんのか?


しかし目の前でまだ赤い顔をして自分の返答を待っている斎藤はとてもわざと言ってるようには思えなかった



さ、斎藤って…



かわいいじゃねぇか!



大の大人が2人揃って部屋で赤くなっている様子ははたからみればとても奇妙なものだろう