漆黒の黒般若

川まで来ると日がくれ始めていた



橋の上に立ちぼーっと下を眺める



そういえば少し前にもこんな事があったっけ…



芹沢に会いたくないあたしはここで見投げしようとして芹沢に助けられた




人生なにが起こるか分からないとは本当のことだろう


ついこの間まで芹沢に会いたくなくて死のうとしていたあたしが今度はその芹沢が恋しくて死のうとしている



本当に人生など何が起きるか分からないな



そんな自分が少しむなしくなる



でももう…



人間とはなんて強欲なのだろう



つい最近まで味方もいない状態で生きてきて
もう自分の人生なんてどうでもいいと思っていたのに

愛する人に会ってからはとてもわがままになった気がする



もっと会いたい
もっと触れたい
もっと愛されたい



自分の気持ちが止められない


しかし芹沢にこんな意地汚い姿見せなくなかった


「ごめんね…」


橋に足をかけ、人生に終止符をうとうとしたときだった




「おいっ!」