「お梅、お前ここから出てけ…」
それは突然だった
「なんで…?どうして?あたしが邪魔になったのかい」
「あぁ、そうだ。邪魔になったんだ。わかったらさっさと出てけ」
「嘘…。嘘だろ?変な冗談はおよしよ。だって、あたしにはもう行く所もないんだよ?」
「金なら渡す。お前の住む場所も俺が探しておく。だから頼む…、俺の前から消えてくれ……」
「……わかった、今まで…、世話になったね…」
それは震える唇からやっと出た言葉で
戸惑いを隠せない目からは涙が溢れでる
「わ、わかったらさっさと出てけ…!」
そう言うと芹沢は後ろを向いてしまった
愛しい人の背中…
今すぐにでも飛びつきたい
行きたくないって
叫びたい
そんな大人げないわがままを聞いてほしい
でも言えない…
行きたくない以上に
愛する人が困るのは
嫌だから…
お金は置いたままその場を去った
涙で視界がぼやける
今から何処に行こうかな
これからの不安よりも彼と別れる悲しみの方がずっとずっと大きくて
頭の中は真っ白だった

