漆黒の黒般若

楠葉が声をかけた瞬間３人は一斉にこちらに振り返った


手には月明かりに反射して光る刀を向けながら




「誰だ。貴様、なぜこのようなところにいる」


３人のうちの一人が楠葉を睨みながら質問した
しかし楠葉はあまりのことに驚いてその場に立ち尽くしてしまった


「おい、答えろ！」


さっきとは別の男が立ち尽くす楠葉に怒鳴った



ビクッと動いた体は小刻みに震えている


“どうしよう…怖い、早く逃げなくちゃ”

早くその場を離れたいのだが足がすくんでうごかない



蛇に睨まれた蛙のように
何も話さないあたしの態度が火に油を注いだのか


「何も答えないのなら消すまでだ」




最初に話した方の男が刀を振り上げ、あたしに向かって走り出した





震えるあたしは死を覚悟して目をギュッとつぶった






しかし、いつまでたっても痛みは襲ってこない


目を恐る恐る開けるとそこにはいるはずのない人が立っていた








「……祐」