漆黒の黒般若

「なんだぁ?」


不思議そうにこちらを見つめる芹沢さんにお梅さんが扇子を渡した


「あんたいっつも趣味の悪い扇子持ってさ、これじゃああたしの妾としてのセンスが疑われるだろ!だから、それ…、使ってよ」


かなり言い方はぶっきらぼうだったが顔を真っ赤にして差し出すお梅さんには精一杯の言い方だったのだろう


芹沢さんもそれを分かっているようで


「お梅…、ありがと」


にこやかに笑うとお梅さんを抱きしめる


「お梅、お前なぁ。妾っていうけど俺はお前の事本妻だと思ってるぜ?だからしっかり神社で式だってあげるんだからな…」


「えっ!?」


芹沢さんの腕の中に収まっているお梅さんは驚きの声をあげた


「よかったですね。お梅さん、じゃあやっぱりあたしが仲人やりますね」


「うん…。頼んだよ」


涙ぐみながらあたしを抱きしめてくれたお梅さんはようやく本当の幸せを掴めたのだ


これからの2人の幸せを切に願った


「あぁ、それからな楠葉。お前に話がある。こい」


「えっ…?」

その場を去ろうとした楠葉に芹沢が声をかけた