漆黒の黒般若

日が暮れてきた


あれから色んな村人に聞き回ったが皆関わりたくないのか逃げてしまう



1日十歩き回った2人はもうくたくたでしかも1人にも話が聞けなかったため精神状態も疲れきっていた




「今日は野宿かな…」



祐が沈む夕日を見ながら呟いた


「野宿…」



楠葉もくたくたでそれ以上話そうとしない



「よし、楠葉。野宿出来そうなとこ探そう」



祐が手を差しのべるが楠葉はその手をつかもうとしない


うつ向いたまま
ただ自分の影を呆然と眺めている



「いこっ」



らちがあかないと思ったのか祐が楠葉の制服を引っ張ったがその手は楠葉によって振り払われた



「嫌だ。もうやだ、なんでこんなところ来ちゃったんだろう。タイムスリップなんて…、よりによってなんであたし達な訳?もうやだよ。みんなに拒否されたくないよ…」





その声は悲鳴に近いもので

楠葉はその場に頭を抱えてしゃがみこんでしまった



楠葉のこの様子ではきっともういっぱいいっぱいだということが分かる


「大丈夫だよ…」



祐がまた声をかけて楠葉を元気付けようとするのだが精神的に追い込まれてしまっている彼女に彼の気持ちが届くはずもなく、楠葉は泣き出してしまった




途方にくれる祐をよそに日はもうほとんど沈んでしまっていた