漆黒の黒般若

「全くお前らは…、次はないと思え!っで、総司は俺の部屋へこい。例の件について話がある」


「はぁい」

「それと楠葉、明日は八木邸には近づくな。必ずだぞ」


「はい」


何かあるのかな、と疑問に思ったが聞けるはずもなく二言返事で了解した


暇になったあたしは縁側で日向ぼっこをする


ぼーっと雲を見ながら土方さんの言った例の件について考えを巡らせる


一体なんのことだろう…
もしかしたら長州のことだろうか?

吉田は今何をしているのだろう


あいつもこの空を眺めているのだろうか?


あたしのことなど忘れてしまっていないだろうか?


あたしのことなどとうでもいいが祐のことを忘れられるのは許せない


そのためにあたしは今まで黒般若として吉田に“生きている”という存在感をあらわしてきた


しかしそれを止めた今、あいつはあたしの存在を覚えているのだろうか?


唯一、吉田との繋がりをもつ般若の面はタンスの奥でひっそりと自分の出番を待っている


あたしはこんなに平和に生きていていいのだろうか?

16歳最後の日あたしは迷っていた