本当に何この人! ぶんぶんと身をひねっても全く逃れられない。 「なんや、お前ミミズみたいやな。」 がーん。 挙げ句の果てにはこの言われよう。 でも、私はこの一瞬を逃さなかった。 「あ、おい!」 ははっと丞が笑った瞬間に、抑えられていた両手をぱっと放した。 チャンスだ! すくっと立ち上がって部屋の襖を開く。 丞を振り返って見る余裕なんて今の私には存在しない。 「待てや!」 待てと言われて待つ馬鹿がどこにいるのよ! と思いながら廊下を走る。