がらりと風呂の戸を開くと、もくもくと湯気が立っていた。



その中をくぐって風呂に浸かる。



「はう~。」



現代の風呂より温度は高めだけど、江戸っ子の私はこのくらいが調度いい。



お気に入りの香りの入浴剤も、髪がツヤツヤになるシャンプーもないけれどこのお風呂は嫌いじゃない。


というか、寧ろ気に入っている。



木の香りで心まで安らぐ気がするし。




大好きなアイドルの曲を口ずさんで私のテンションはMAXだった。




「イエーイ!」



――ガラッ



お?



今、ガラっていった?



「曇ってるなぁー。」



えええええええ!?



ピチャン、ピチャンと足音が近づいてくる。



一体この展開は何!?



予想もしていなかったシチュエーションにテンパってしまって、どうすればこの状況を回避できるか考えられない。