「お前が剣を使えるなんて、思ってもみなかったぜ。」 白い歯を見せて笑っているけれど、目は決して笑っていない。 「真剣勝負ですよ、原田さん。」 この感覚は、剣道個人の全国大会の準決勝で翼とやりあった時以来な気がする。 「当然だ。」 再び竹刀に力を込める。 「始めっ!」 再び土方さんの声がこだまする。 「はあっ!」 ――バシッ 互いの竹刀が、しんとした稽古場に音を響かせぶつかり合う。 「…ッ!」 竹刀から伝わってきた重みはずんと私の腕まで伝わる。