00:00

――マズユビ

ゴキ

深夜ベッドで眠っていた久遠は急に悲鳴を上げた。平穏に落ちた黒い影。

右半身を刺すような激痛。

――え

右手の中指が人差し指と直角に交わっていた。

そして中指が意思を持たない幽鬼のように垂れ下がる。さらに半回転し、爪が掌についた。

久遠は訳がわからず、困惑した。

――暗くて何も見えない、明かりを確保しよう

そう考えた。

電源を入れても点く様子がない。

――停電?

疑問に思い懐中電灯を探し出す。