あと50m。 たったそれだけの距離の先にあいつの特等席はある。 その時、ベンチに寝そべる、奴の足が見えた。 ほら、間違いだった。 ちゃんと翔はまだ生きてる。 嬉しさが込み上げて、同時に無駄に心配を掛けさせて、と逆ギレに近い感情が込み上げる。 私は忍び足で翔に近付いていく。 驚かそうと思ったのだ。 ささやかな仕返しに。 私を無駄に心配させた仕返しに。