籠鳥~溺愛~

(だ、騙された――!?)

 驚いて瞳を見開いた美冬の目じりに浮かんだ涙を、鏡哉が吸い取る。

「よかった、美冬ちゃんがやきもち焼いてくれて」

「や、やきもち?」

「私を独り占めしたかったんだろう?」

(え、ええ~~!?)

 そんな大それたことを思った覚えはないが、目の前の鏡哉はうんうんと頷く。

「私も美冬ちゃんを誰にも触れさせたくない。同じことを美冬ちゃんも私に思ってくれてうれしいんだ」

(そ、そうなのかな……)

 鏡哉は体を起こすと、美冬の上半身を抱き上げた。

「美冬ちゃんは欲しいもの、全然口に出さないよね」

「え?」

 ふと真面目な声で返され、美冬は上目づかいに鏡哉の表情を伺う。

「一年以上一緒に暮らしてきても、君はいつも自分の欲しいものを口にしなかった」

「そ、そんなこと」

「だから嬉しいんだ。少しでも私のことで焼きもちを焼いてくれたことが」

 どきん。

 
 美冬の心臓が大きく跳ねる。

 頬が熱い。

 真摯な瞳で自分を覗き込んでくる鏡哉から目をそらしたいような、そうでないような。

「美冬ちゃん、私は君が――」

(え……?)

「君が、愛おしくて愛おしくて、しょうがない――」