‡〜焦燥〜‡
「柚月…?」
「…っ快?」
もしかしたらと思って、部屋から抜け出し、抜き足差し足で部屋まで来た。
明かりが洩れている事にほっとして覗き込めば、予想外の人物がそこにいて驚いた。
「なんで柚月が姉ちゃんの部屋にいるんだよっ」
「おまえこそ、こんな時間に何の用だ?」
「俺は、姉ちゃんに会いに来たんだ。
柚月こそ、何でいるんだよっ」
「関係ないだろ。
今何時だと思ってるんだっ。
子どもは寝ろッ」
「ッんだとっ。
俺は姉ちゃんに話があんだっ。
出てけよッ」
「ッ…蒼葉様はいない」
「何だってっ?!
姉ちゃんッ」
まさかと思って、机の上を見る。
カバンもない。
サッと血の気が引く。
「…ウソだ…そんなすぐに…」
「何…?」
あんな風に別れて最後なんて事になったら…。
「おいっ。
お前、何か知っているのか?
蒼葉様は何処へ行った!」
「っ知ってどうするんだ?!
追っかけられっこないっ。
姉ちゃんは、ひと月くらいだって言ってたけど、俺にも行き方がわかんないんだからッ」
「ひと月っ?!
こんな夜中に出掛けてか?!
何処に行ったか教えろッ」
「…っ知るかッ」
「追っかけられないと言っただろうっ。
俺が調べる。
どの辺かくらいわかっているんだろ?!」
「知ってても行けないッ。
道を知らないんだ…っ」
「だから調べると言っているんだッ」
「無理だッってんだろッ。
この世界にはもういないんだからッ」
「…何…?
この世界…?
この世にいないと…?!」
「ッッ手を離せっ。
この世じゃないッ。
この世界って言ったんだッ離せよッ」
「…どう言う意味だ…!」
「…異世界だっ。
姉ちゃんは、昔お世話になった人達に謝りに行くって言ってた。
この次元じゃない世界…。
俺も行くって言ったのに、危ないからって…くそッ。
もっと粘れば良かった…ッ」
「異世界っ?
何ワケわからん事をっ!!」
「どうせ柚月にはわからんッッ!」
「ッ快っ!」
どうせ分かるわけない。
そんなヤツの相手なんかしてても時間の無駄だ。
柚月の手を振り払い、部屋を飛び出す。
「イル…っ」
小さく友人の名前を呼ぶ。
「イルっイルっ」
イルに会うとき、こちらから呼び出した事はない。
神出鬼没な友人は、壁もすり抜けるから、きっとこの声も届く。
「…イルっ」
〔うみぃ〜《じゃじゃ〜ん》〕
「イルッッ」
「柚月…?」
「…っ快?」
もしかしたらと思って、部屋から抜け出し、抜き足差し足で部屋まで来た。
明かりが洩れている事にほっとして覗き込めば、予想外の人物がそこにいて驚いた。
「なんで柚月が姉ちゃんの部屋にいるんだよっ」
「おまえこそ、こんな時間に何の用だ?」
「俺は、姉ちゃんに会いに来たんだ。
柚月こそ、何でいるんだよっ」
「関係ないだろ。
今何時だと思ってるんだっ。
子どもは寝ろッ」
「ッんだとっ。
俺は姉ちゃんに話があんだっ。
出てけよッ」
「ッ…蒼葉様はいない」
「何だってっ?!
姉ちゃんッ」
まさかと思って、机の上を見る。
カバンもない。
サッと血の気が引く。
「…ウソだ…そんなすぐに…」
「何…?」
あんな風に別れて最後なんて事になったら…。
「おいっ。
お前、何か知っているのか?
蒼葉様は何処へ行った!」
「っ知ってどうするんだ?!
追っかけられっこないっ。
姉ちゃんは、ひと月くらいだって言ってたけど、俺にも行き方がわかんないんだからッ」
「ひと月っ?!
こんな夜中に出掛けてか?!
何処に行ったか教えろッ」
「…っ知るかッ」
「追っかけられないと言っただろうっ。
俺が調べる。
どの辺かくらいわかっているんだろ?!」
「知ってても行けないッ。
道を知らないんだ…っ」
「だから調べると言っているんだッ」
「無理だッってんだろッ。
この世界にはもういないんだからッ」
「…何…?
この世界…?
この世にいないと…?!」
「ッッ手を離せっ。
この世じゃないッ。
この世界って言ったんだッ離せよッ」
「…どう言う意味だ…!」
「…異世界だっ。
姉ちゃんは、昔お世話になった人達に謝りに行くって言ってた。
この次元じゃない世界…。
俺も行くって言ったのに、危ないからって…くそッ。
もっと粘れば良かった…ッ」
「異世界っ?
何ワケわからん事をっ!!」
「どうせ柚月にはわからんッッ!」
「ッ快っ!」
どうせ分かるわけない。
そんなヤツの相手なんかしてても時間の無駄だ。
柚月の手を振り払い、部屋を飛び出す。
「イル…っ」
小さく友人の名前を呼ぶ。
「イルっイルっ」
イルに会うとき、こちらから呼び出した事はない。
神出鬼没な友人は、壁もすり抜けるから、きっとこの声も届く。
「…イルっ」
〔うみぃ〜《じゃじゃ〜ん》〕
「イルッッ」


