結局本名は最後まで伝えられなかったな。


今更気付いたけどもう遅い。
まぁ二度と逢うこともないだろうし、いいか。


ぶっきら棒な人だったけど、最後に返事をしてくれた時ほんの少しだけ笑ってくれたような気がする。
車が走り去って行った方を向く。
既に見えなくなった神田さんに頬笑み返してあたしは病院に入って行った。