糖度∞%の愛【編集前】



“反則”って何だ。 私がそんな質問をするのがそんなにおかしいのか。

さっきのオマエに感じた胸キュンを返せ。



「そこでそんな可愛い質問するなんて、ホント反則」


さっきまでの困ったような表情とはガラリと変わって、とろける様な微笑みでそうサラリとクサいセリフを吐く五月女。

またもやすぐに言い返すことができなくて、変わりにまた顔が真っ赤になって私の心情を率直に表してくれた。


油断させといて不意打ちに大きい一撃をくらわせるなんて、本当にくえない奴ッ!


言いよどむ私に、「ありきたりなセリフでいいですか?」とまた一歩距離を縮めて言う目の前の男は、すでに私の後ろが壁だと分かっていて距離を詰めているんだと思う。

何にも考えてなさそうに見えて、2手も3手も先を簡単に読んで行動するコイツを手中で転がせる奴は、いったいこの世に何人いるんだろうか。






「沙織さんの全部が好きです」


目の前の男の“好きの理由”は、本人が前もって宣言した通りとても“ありきたり”な理由だった。