糖度∞%の愛【編集前】



……といっても、そんなに急ぐほどの仕事はなくて、あっという間に定時になって終わってしまったんだけど。


食事でも行こうかと真帆を誘ってみたけれど、真帆らしくなく仕事が残っていて残業らしく断られてしまったし、彼方にはメールしても返事がないからきっと携帯を見る暇もないくらい仕事が忙しいのだろう。

このまままっすぐ自分のアパートに帰るのも憚られて、午前中に謎の電話をかけてきたお父さんの携帯へと歩きながら電話をかけてみることにした。


呼び出し音が2回も鳴らないうちにつながって、電話の向こうの第一声は『かけてくるのが遅いっ!!』というなんとも理不尽な怒鳴り声だった。



「……お父さん、あのねこれでも仕事終わりで速攻電話したんだよ?」

『昼にでもすぐに折り返すことくらいできただろう!?』

「なんでそんなに怒ってるのよ? そんなに急用だったの?」


そんなに怒ってると血圧あがるよ?とは言わないでおいた。

それを言うともっとお父さんの怒りゲージを上げてしまうに決まっているから、とにかく本題に移りたい。


『……お前』

「なによ」


たっぷりと間を開けての呼びかけに、なんだか居心地が悪くなりながらも返事をする。






『結婚するって、本気か?』