……あれ?
自慢じゃないけど真帆より私仕事できるんだけどなぁ。
と思っていても言えないのは、やっぱり真帆に弱いからで。
でも私が鈍いと判断されるその要因はなんなんだろうか。
付け合せのキャベツの千切りをもぐもぐと食べながら一応考えてはみるけれど、真帆の考えなんてとうてい分かるはずもないからすぐに放棄して私の頭の中はすでに午後の仕事のスケジュールをどう処理するかに切り替わっていた。
お昼を食べ終わって部署に戻って席に着くために真帆から離れると、そのすれ違い様に真帆が「五月女君もかわいそうに」とポツリ呟いたのが聞こえた。
え? と真帆を振り返ってその言葉の意味を聞こうとしたけれど、真帆は後ろ手にひらひらと手を振って席に着くと、私の質問は受け付けないとばかりにキーボードの上に手を置いてテンポよく動かし始めてしまう。
……部長に、社員に、お父さんに引き続き、真帆もなんか変だ。
真帆の場合は変というより、何かを知っていてでもそれを言うつもりがなくて、……で、何故か私に呆れて彼方に同情している、って感じだろうか。
うーん、と考えながらもパソコンを起動していつも通り仕事に取り掛かる。


