もぐもぐと咀嚼しながら、続きを促すと真帆は注文したカキフライ定食に箸をつけることなくテーブルに肘をついて呆れたようにしみじみ言った。
「黙ってれば綺麗で、仕事もできるのに、すっごい酒豪だしスカしてるし自分の容姿最大限に利用してるし、変に打たれ弱いし、基本イケイケなのに変なところでネガティブだし、」
まだまだ続きそうな私に対するひどいけれど的を得ている評価を、口の中のから揚げを慌てて飲み込んで「ストップ!!」と強制的に打ち止めた。
「……結局何が言いたいわけ?」
真帆がこういっているのが、なにか別の本題があるときの前置きなんだと分かっていながらも最後まで聞けないのは、あまりにも図星過ぎて本気でへこみそうだからだ。
真帆もそれがわかってて私の反応を楽しむためにそんなことしてるんだろうけど、私が本題を聞きたいと意思表示をしたことであっさり私の評価を打ち切って「結局は、」と本題を切り出した。
「沙織って鈍いよねって話」
意味もなく酷評を受けた挙句に本題が“私が鈍い”ってどういうことだ。
てっきり部長が変な理由とかを知っていて教えてくれるのかと思ったのに、とんだ見当違いだ。
「っていうか私鈍くないと思うんだけど」
一応そこは否定しておこうとおずおずと真帆に進言してみたけれど、鼻で笑われて終わった。


