「沙織、お昼いこー」


そう声をかけられてパソコンの左下にある小さな時刻表示に目を向ければ、“12:22”と表示されている。

打ち込んでいた文もちょうどいいところだったから、「うん、行こう」と言いながらデータを保存してパソコンをスリープ状態にしてからお財布を持って席を立つ。

出入り口でこっちを見ながら待ってくれている真帆のもとに向かうと、やっぱり真帆もニヤニヤ顔をしていた。


「何その顔」

「なにが?」

「部長もその他も朝からニヤニヤして、部長に至っては途中から悲壮感漂ってきたし、今日はいったい何があるの?」


食堂に向かいながら真帆に聞いてみるけど、「何もないフツーの日でしょうが」とアッサリとかわされてしまう。



……そうなんだけど。

確かに誕生日でも記念日でも祝日でもなんでもない日なんだけど。

でもやっぱり……。



「なに? 沙織には何か変だと思うわけ?」


逆に聞かれたから素直に「うん、変」ときっぱり言い切る。