糖度∞%の愛【編集前】



確かに散々だったけれど、それを忘れられるくらいの素敵な恋愛を今はしているから痛くもかゆくもない。



「過去の恋愛を見ず知らずの人間に話す必要性を感じませんし、それに今更ですけどここって会社の人間以外立ち入り禁止なんです」



言ったと思いましたけれどこんな短時間で忘れてしまうほど記憶力がないんですか?

にっこり笑顔で三倍返し。


伊達に社会の荒波にもまれているわけじゃない。
こういうハンデを持っている人間を採用してくれたこの会社に貢献できるように、がむしゃらに仕事に向き合ってきたつもりだ。


会社にいれば理不尽なことで怒られたり、嫌味を言われたりとうことが当然あって、私はそれプラス今まで言われてきた心無い言葉の刃を受けてきた経験だってある。

だからこそ、こうやって泣き寝入りすることなく強気で言い返せる。

……彼方に関すること以外は、だけど。


「どうせ今も彼氏いないんだろう? 一回きりならつきあってやってもいいぜ?」


どうしてそういう結論になるのか分からない言葉を投げかけられて、“アンタ何様?”と私が言い返す前に言い返してくれたのは、やっぱりこの人だった。