「順平、これ紹介料な」

父ちゃんが1000円札を2枚、オレに差し出す。


「いいよ!平石のは、いらない」

「いらないのか?…そうか」

父ちゃんはフッと笑うと、だまって財布の中にお金をしまった。


「今できた友達は、一生付き合うかもしれない存在だ。大事にしろよ」

そう言うと、父ちゃんは床に落ちた髪をほうきで掃除し始めた。


だまって成り行きを見守っていた友美さんが、ここで初めて口を開く。

「順平、あの服アンタのでしょ?あげちゃって良かったの?」

「うん。似たようなの持ってるし、あんなに喜んでくれるならオレの方が嬉しいよ」

「そうね」

父ちゃんと同じように、フッと笑う友美さん。


「それにしても、順平の服のチョイスは正解だわ!平石君の雰囲気にバッチリ合ってた!」

「でしょ?」

ちょっと得意気のオレ。

「アンタ才能あるわ」

「え、才能とかじゃないよ」

オレの肩をポンポンとたたいた友美さんは、こう言うと“あんていく”に戻って行った。


「なに言ってんの!“KawaCan”グランプリの順平君!」